MONO-X
Concept, Graphic, Web, Logo, VI+CI, Space, Art Direction, Photo Direction
【Background】
2024年4月より、株式会社オムニサイエンスが新たに株式会社MONO-Xとして生まれ変わった。MONO-Xは企業間データ連携インフラ「MONO-Xプラットフォーム」事業と、レガシー基幹システムのクラウド移行支援サービス「PVS One」事業という2つの事業を軸に展開するIT企業である。ブランド・アイデンティティの一新が必要なそのタイミングに、株式会社MARKよりお声がけいただき、アートディレクターとして参画。MMVなどの概念・コピーを開発するパートナーとして株式会社Studiesに声をかけてチーム編成し、ブランドの立ち上げに関わった。
【Logo Design】
まず最初に「X」の意味を規定する必要があると考えた。MONO-Xの社名の意味としてはものづくりやDX(デジタル・トランスフォーメーション)などがあったが、もう一歩踏み込んで意味を作っていく余地があると考えた。また、ビジュアルとしてキャッチーなXのアルファベットをマークとして使うことは最初にMTGした時点から既に考えていた。
試行錯誤した後、ロゴのコンセプトとしては「Across The New Cross Points」と置いた。企業間データ連携インフラを提供するMONO-Xの「X」が表すのは、新たな時代のクロスポイントであると考えたためだ。その交差点は、企業間のみならず、個別企業内、産業間も接続するものであり、MONO-Xは新時代のデータ連携インフラを創造していく。「X」を交差点と見立てることで、ビジュアルとしてもシンプル且つボールドな意味合いと、象徴的なイメージをもたらすだけでなく、ハブとなるターミナル駅が、接続された路線の周りも豊かにしていくように、MONO-Xが接続したあらゆる企業の周辺も豊かになっていくというイメージを込めている。
余談だが「Across The New Cross Points(新たな時代のクロスポイントを越えて)」というロゴコンセプトには、文中にCross(X – クロス)を重ねるという遊びを入れ込んでいる。
また、ロゴは分解しユニットとして展開するイメージを持つ。これらのユニットは全て直線と円の幾何図形で構成されていて、自由に形を組み合わせることができる。これらは全体と部分のメタファーであり、あらゆるパーツを自由に組み合わせることでものづくりは深化していくという意味合いを暗示している。Studiesより提案されたブランドスローガン「Rewrite the Standard.」
【Brand Color Design】
ブランドカラーには、イエローをベースとしたカラーリングを使用。これらはプライマリーカラーとし、その他5つの異なる色相のカラーリングをセカンダリーカラーに設定。カラー設計の意図としては、簡単に言ってしまえば「なんでもあり」ということの具現化だった。あらゆる幾何的なパーツを用いて並べて良く、色も自由に組み替えられる。それこそが、MONO-Xの目指す異なる企業間の連携や産業の連携を表すことができるモチーフだと考えたためだ。但し、ブランドとしては統一感を持って見えなければその役目を果たすことはできない。故に色数を指定し、プライマリーカラーのブラックとグレーを必ず混ぜることを通底させた。
カラーリングにはもう一つイレギュラーな要素として、ブランドカラーのグラデーションの規定がある。上図のブルーからイエロー(オーカー)に向かうグラデーションは自由にどの色相と組み合わせても良い。これをルールに混ぜた意図は色々あるが、一つ大きかったのは従来のデザインシンキング的発想からすると最も理解しがたいものかもしれない。
それは、プレゼンの行きがかり上、偶発性に生まれた色だったということ。もともと別のBプランの設計で使用していた色をクライアントが気に入ったのだが、それはイレギュラーな要素になるので、デザインとしては却下しても良かったのだが、その要素をどこかに入れようと考えた。このあたりの理由は主義主張の話になってしまうので割愛するが、簡潔にいえば、デザイナーは、必ずしも1から10まで最初に設計するのではなく、手元にあった(または偶然手に入れた)ファクターを用いてブリコラージュ的に建設する方が、デザイナー自身も面白いしクリエイティブの飛距離も伸びるからである。
【Web Design】
WEbデザインのワイヤーフレームは前述のStudies榊原氏が整理。主にデザインによる肉付けを行った。動きやイメージは、ユニットが組み合わさるという指針に則り作成し、写真や画像の出方はIT企業ゆえに、ビットマップデータを意識した現し方をした。「Rewrite the Standard.」というエネルギッシュな企業スローガンのイメージを踏襲するWebサイトにできるよう心がけた。
【Tool Design】
BIツールは、全て制定したブランドガイドラインに準じて作成した。特に名刺は、背面が部署ごとにカラーリングを変更していて、並置すると貫通するロゴが繋がるようなデザインにした。こうした遊び心が、ブランドのものづくりに対する姿勢をも表す。
名刺の他に封筒、ネックストラップ、ステッカー、水筒、Tシャツなどを作り、ブランドリニューアルの告知リーフレットも作成している。
【Space Design】
ミーティングルームの壁やガラス面、エントランスに装飾を設計。エントランスはカルプ文字を樹脂で作成している。多彩なカラーリングはともすれば空間ではうるさくなったり浮いてしまう。ベースをブラックなどの無彩色にすることで、そうならないラインを視覚的に探った。
【Poster Design】
スペースデザインの一環でブランドポスターも作成した。主にオフィスのミーティングルームに置くことを目的としている。メタリック紙に刷ることで、グラデーション部分に輝きを取り込んでいる。また、他の箇所もインクによる隠蔽率を変えることで、メタリック部分とマットな部分を混在させている。アルミ複合板に圧着させているため、額にいれなくても設置することができるので、その質感の違いを感じることができる。
Creative Director / Producer: Yuji Kinoshita(MARK Inc.)
Art Director / Graphic Designer: Yu Miyazaki(MY HEAD LLC)
Copywriter: Kei Sakakibara(Studies Inc.)
Web Engineer: Kazuya Okamoto
Photographer: Kazune Kogure / Masaki Kawamura(CONTRAST Inc.)
Production: MARK Inc.
Client: MONO-X
MONO-X